くすくすの森 カフェテラスの仕掛人

星野リゾートの人 06

星野リゾート リゾナーレ熱海

石丸智浩 (入社5年目)

樹齢300年以上のクスノキと一体化したようなツリーハウスや樹上アスレチックが広がる「森の空中基地くすくす」が人気の星野リゾート リゾナーレ熱海。10月はハロウィン・ムードたっぷりに、ツリーハウスでのランチ・ティータイムや夜のライトアップが楽しめます。この森にある基地のようなカフェをプロデュースしているのが石丸智浩です。
「森の空中基地くすくす」自体も、ゆっくり時間をかけ、もともとの森を守りながらツリーハウスをつくるプロジェクトでしたが、そこでお客様にどう楽しんでもらえるかを冷静に考えたのが石丸です。どんな演出でどんな風に森の中での一杯のコーヒーをお客様に楽しんでもらうか。彼のもちうるセンスの凝縮と、この場と地域への愛情が、そこかしこにあふれています。

くすくすの森のカフェテラスはどうやって生まれたの?

「くすくすの森で、
カフェともなるデッキの部分を広げたい」

「くすくすの森で、カフェともなるデッキの部分を広げたい」。彼の最初の提案は、実は受け入れられませんでした。「そっちより、ツリーハウスにお金をかけよう」というのが当初の会社の方針だったのです。でも根気強く「カフェがあればお客様にこんな時間が提案できる」「将来、この森がさらに人の集まる居心のいい場所になるためにも、カフェは必要」というプレゼンテーションを続け、ようやくゴーサインが出たのでした。「たとえばランタン一つ置くにしても、良さそうなものを探すとそれなりの値段で、扱いにくい繊細なものが多い。でも、みんなが扱いづらいものは置けない。誰もが簡単に火を灯せ、安全で、なおかつセンスのいいものをと探しました」。こういった小物ひとつのデザインにもこだわることで、彼は「森の空中基地くすくす」の世界観をつくりあげていきました。
→森の空中基地くすくす

温泉コーヒーは地元の魅力とのコラボ

星野リゾートの魅力開発は、地元とのコラボも必須。「駅前のカフェと『温泉で洗ったコーヒー豆』を企画しました。「『藍花』という老舗コーヒー店のマスターのアイデアです。いろんな温泉水で豆を洗ってもらいましたが、熱海の温泉は塩分が多く、味がクリアになることがわかりました。他にはないアイデアでお客様に是非飲んでいただきたいと思いました。お茶もD&Departmentで見つけた静岡のお茶のパッケージがとても可愛かったので、『うちも静岡のホテルなのですが、オリジナルの商品を作ってもらえませんか』と交渉したり」石丸は細かい事にも熱意をもって取り組みます。こうしてひとつずつ、センスを目に見える形にしていったのです。

PROFILE

大学時代は地元のカフェでバイトをしながらも、卒業後は飲食店も立ち上げるような不動産のベンチャー企業に就職。でも、3年目に大きな壁を感じていたところ、父親に「こんな会社があるよ。おまえに合うかも」と、星野リゾートを勧められ、中途採用に応募。持ち前のセンスを生かし、リゾナーレ熱海のカフェを次々と進化させています。

仕掛人を構成する要素

仲良し家族のカフェスタイル

石丸はリゾナーレ熱海の開業タイミングに入社。「日本全国どこへでも行きたいと思いました。リゾナーレ熱海にはBooks&Caféもありますし、カフェの仕事と関われるのも魅力的でした」。
とても仲の良い3姉弟はレンタルスペースで1日限定カフェを営業することも。 お姉さんが料理、パティシエの妹さんがスイーツ、石丸はドリンク担当。「数時間営業するだけでも、食材や食器の準備、前日からの仕込みと、費やすエネルギーはすさまじく、オープン前はいつもバタバタ。いくらシミュレーションをしても、本番は想定外なことも起こり、終わった時には疲れ果ててしまいます」。
それでも来てくれた友人達との楽しい時間は何物にも代えがいという石丸。「『やってよかった』『次はここを改善しよう』と3人で話し合います。3人とも根っからのサービスマンなんです」。

ソラノビーチ Books&Caféの開業を目指して

ひと言に「カフェ」といっても、その空間によって持ち味は変わってきます。石丸はそれを誰よりも把握し、そこにオリジナリティのあるセンスを加えていきます。「居心地のいい空間や人が集まる場所とは空間そのものに統一感があって、しっかりしていることが大事です。それが居心地のよさにつながりますから」
今年、9階から11階にBooks&Caféを移動させるというミッションに取り組んでいます。そして新たに登場する11階のソラノビーチ Books&Caféの仕掛けは。「最上階の室内に砂浜を作りたいんです。そこに裸足で入ってくつろげるような。そのためのオペレーションを考え、問題を一つずつクリアしています。もちろん制限はありますが、チャレンジが好きなので。社長は『勢いだけじゃダメだぞ』と言ってくださる。社長の物事の進め方は、とても勉強になります」。
→2016年9月グランドオープン「ソラノビーチ Books&Café」

同僚
飯村恵子

仕事は冷静。我らがおしゃれ番長!

いつも冷静な判断ができる、センスのいい石丸さんは、我らがおしゃれ番長です。そのセンスもワンパターンではなく、状況に合わせて変えることができる様子。人をひきつける優しい魅力のある人ですが、いつも影でしっかりみんなを支えている人でもあります。もうちょっと前に出てきて引っ張ってくださっていいですよ!

総支配人
中瀬勝之

チームビルディングにも貢献しています

都会のカフェにどんどん出かけていって、そこで良かったと思うことをこちらに持ち帰って上手に提案してくれるのが石丸さん。写真や映像の編集も得意でそのクオリティも高いと評判です。何よりも、チームビルディングにも積極的に貢献してくれています。おしゃれ番長はおしゃれなだけじゃないのです!

仕掛人に聞いてみました

Q

人に教えたくないカフェはありますか?

僕が学生時代にバイトしていた東船橋の「KURA6330」です。ある日、畑の真ん中にその店ができて、焼肉屋かなあと立ち寄ったらカフェでした。美味しい牛乳をコンセプトに、スイーツやアイスも作っていて、センスも最高。都内にはたくさんお洒落なカフェがありますが、そこほどコンセプトが明確な店はありません。僕はバイト募集の貼り紙もないのに押しかけて採用してもらいました。ここは本当に素敵です。

Q

黒板にアーティスティックな
文字を
描けるのはどうして?

Chalkboyさん、という チョーク画のアーティストがいて、その人の本を参考にしながら独学で描いています。あとは、いろんなカフェで見た黒板のアートが先生ですね。

Q

趣味の動画制作を仕事にも生かして

映像を作るのも大好きです。仕事としては、アクティビティ紹介や社員会の動画などを作っています。プライベートでは、友人の結婚式の動画はもう10本くらい作ったかな。サプライズが好きで、友達との旅行も編集して驚かせたり。父も映画好きで「このカットがいいな」などと話をすることも多いです。「趣味が仕事に生かせてよかったな」と言ってくれますね。

Q

熱海で好きな場所は

リゾナーレ熱海から見下ろす相模湾です。晴れた日と曇りの日、朝と夕方でも、海の色がまったく違う。水平線ではなく、地続きの海の面白さを感じます。

Q

あなたが今気になっている
仕掛人/サービスや企画/商品は?

teamLabのプロダクト。イベントがあるとよく行きますが、ただただ面白い!年齢問わず夢中になる空間・展示を創造していて、とても刺激になります。シンガポールの常設展示も見に行きたいです。

仕掛人にとって"旅"とは

Q

今まで行った旅先で一番好きな場所は?

中国雲南省麗江の「麗江古城」という世界遺産に登録されている街。1人で北京から汽車とバスで50時間かけて辿り着いたこの街は、道は全て石畳、建物は瓦屋根、赤い提灯がズラッと並ぶ中国ノスタルジックな場所でした。

Q

どんな時に旅に出ようと思いますか?

旅に餓えて禁断症状が出たら。(3連休取れたらまず旅行の計画!)

Q

どんなスタイルの旅が好きですか?

バックパックを背負って、行先以外は特に決めない気ままなスタイル。
その時々で出会う人に地域のオススメを教えてもらい、予定に組んでいくことが多いですね。 自分で言うのも何ですが「旅の神様」に愛されているようで、驚くような出会いがいつもありました。

Q

旅とは

旅=発見・吸収・成長です。
人種、言語、食物、建築など、特に海外に行った時に受ける影響は計り知れません。見て触れたもの、出会った人全てが糧になり、今の自分をつくりあげています。旅で蓄積したアイディアを仕事に活かすことが多いです。
もちろん旅先でのカフェ巡りも欠かせません。

Q

旅先に必ずもっていくものは

音楽(気分に合った曲を聴きながら歩くのは最高です)
カメラ(動画も静止画も撮ります。帰ったら編集してたまに見ることが好きです)
ノート(1人旅では日記を書きます。20年後くらいに楽しめると思います。)

これからやりたいことはなんですか?


文:森 綾、撮影:ヒダキ トモコ、イラスト:山田 だり

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